これらの装置を用いて、より詳細で正確な体内情報が求められるようになるに伴い、血管造影をはじめとする造影剤による検査の必要性が出てきました。
以前はX線の吸収度の違いで描出する物質を造影剤と呼んでいましたが、最近ではMRIや超音波検査などX線吸収による画像装置以外のものが開発されており、これらに使用する物質を含めて造影剤と呼ぶようになりました。
現在、これら造影検査に代行できる検査法はなく、最近はMRI造影剤を中心に需要が増加しています。
ただ、造影剤の成分は、化学合成された物質であり、生体にとっては異物であるため、造影剤の使用に際し、副作用を最小限度にする必要があります。
そのため、造影剤は種々の特性を考慮して選択されます。
ヨード造影剤の造影能は、ヨウ素の含有率で決まりますが、ヨウ素の含有率が高いヨード造影剤は副作用発現の可能性が高くなります。
また、ヨード造影剤の浸透圧は、血液に近いほど良くなります。
浸透圧は、溶液中の分子やイオンの数が多いほど浸透圧は高くなりますが、浸透圧の高い造影剤を動脈や静脈に注射した場合、組織が脱水し、反動で浮腫になり、臓器不全になります。
そのため、副作用を軽減し、安全性の高い非イオン性造影剤やダイマー造影剤など低浸透圧の造影剤が開発されています。
ヨード造影剤の粘稠度は、溶液の流動性の尺度で、ヨウ素などの成分濃度が高いほど粘稠度は高く、成分の分子量が大きいダイマー造影剤のほうがモノマー造影剤よりも粘稠度は高くなります。
また、粘稠度が高くなると、造影剤を点滴や細いカテーテルで注入するのが困難となります
造影剤は、一般的な治療薬とは違って薬理作用はありませんが、X線の吸収のような物理的な作用があれば、理想的な造影剤といえます。
ただ、造影剤に含まれる成分は生体にとっては異物であるため、副作用が発現する可能性があります。
副作用には、即時型副作用と遅発型副作用があります。
即時型副作用は、造影剤の注入中もしくは検査終了前までに現われる副作用です。
遅発型副作用は、検査終了後6時間以内に発現する場合が多くなっています。
また、検査終了後5〜6日後に皮膚症状が発現することがあります。
造影剤による副作用の低減のため、低浸透圧の非イオン性造影剤が導入されていますが、造影剤による副作用は完全に無くなったわけではありません。
造影剤は、多くの疾患の診断に不可欠となっていますが、造影剤が診断薬であることから副作用の発現は問題になりやすく、副作用を回避するため、各検査に適した造影剤を選択する必要があります。
また、造影剤を使用する場合、副作用の発現の徴候を早期に発見し、早急に対処する必要があります。
造影剤は、大きく分けると、X線造影剤、MRI造影剤、超音波造影剤に分類されます。
また、X線造影剤には血管内造影用として用いられるヨード造影剤と消化管造影用のバリウム造影剤があります。
X線造影剤によるX線造影のコントラストは、照射された臓器のX線の吸収の差によって決まります。
例えば、胸部X線撮影の場合、骨、空気を含んだ肺や心臓等の各組織は、それぞれに応じたコントラストを示し、単純なX線撮影でも各臓器の区別がつきます。
しかし、腹部の場合には、各臓器の組成が非常によく似ているため、X線の吸収の差が小さくなり、各臓器の区別をつけることが難しくなります。
このような場合には、各臓器が区別して見える様に、X線の吸収が人体の組織よりはるかに大きくX線が透過しにくい、「バリウムやヨウ素」などの物質を含有する造影剤を投与します。
バリウムやヨウ素を含有する造影剤が到達した臓器は、X線吸収が大きくなるためその部分が色濃く造影し、周辺の臓器と区別がしやすくなります。
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